2008年5月、中ロ国境の旅(その7)

| コメント(0) | トラックバック(0)

バスターミナルで国際バスの時刻を調べた後、ウスリースクの名所?まわりをすることにした。ウスリースクには「中国市場」と呼ばれる、中国製品を主に扱う市場がある。噂には聞いていたが、どんな所か分からないので行ってみることにした。

バスターミナルから、先ほどバスを降りた街の繁華街に戻り、中国市場行きのバスを探す。本当にあるかどうか分からないが、有名な市場で市民の利用も多いようなので、おそらくある、と見当をつけてみただけだ。

止まっているバスを見ると、それらしき行き先が書かれたバスがあった。が、行き先を読んでいる間にバスが出て行ってしまった。待つこと3分、別のバスがやってきた。そのバスもどうやら中国市場を経由するようだ。

とりあえずバスに乗る。車掌さんにロシア語で「中国市場」と書いたメモを見せると、頷いてくれた。おそらく大丈夫だろう。バスはウスリースクの目抜き通りを北へ北へと進んでいく。20分くらい経っただろうか、車掌さんが「ここで降りろ」という身振りをしてくれた。

指示されたバス停で降りるとき、高麗人(朝鮮系ロシア人)とおぼしき人が何人かバスを待っているのを見た。おそらく、この近くに市場があるのだろう。同じバス停で降りた人たちは一様に同じ方向に向かって歩き出す。人の流れに付いていくと、ロシアと中国の国旗をあしらった看板が見えてきた。どうやら目的地は近いらしい。




看板を過ぎて少し行くと人々が東に向けて道を曲がっていく。どうも、そちらが中国市場の方向のようだ。同じ角を曲がると、なにやら市場らしきものが見えてきた。






市場の中は商品であふれかえっていた。商品のほとんどすべてが中国製品のようだった。売っている人は中国人あり、高麗人あり、ロシア人ありと多彩だった。中国から来ている人たちを見ると、黒龍江あたりからきているとおぼしき北方人が多かった。多くの人が苦労が顔に出ていた。こうやって一生懸命働く人と、アフターファイブは家族と一緒にのんびり過ごしたいという現地のロシア人との間には、労働文化の面で大きな差があると感じた。そしてその「差」が中国人に対するある意味での恐怖心につながっているのかなと思った。




とはいえ、ウスリースクの人々にとっては、中国市場で売られている商品(値段は安いそうだ)は生活にはなくてはならないもののようだ。また、極東の他の街から買い出しに来る人もいるそうで、ウスリースクの中国市場は小売りだけでなく卸売り機能も兼ね備えた市場と言うことができるだろう。




ウスリースクでは、見ず知らずの(中国人とおぼしき)外国人に親切に道を教えてくれるなど、ロシアの政策から感じる中国人に対する警戒心を直接感じることはなかった。もちろんこれは旅行者の目から見た感じなので、現地に暮らしてみないと分からないこともあろう。

このような市場に身近に接している人たちにとっては、中国市場やそこで働く中国人は問題を抱えているかも知れないが、同時に自分たちの生活になくてはならないものであるという認識があるのだろう。それが、沿海地方政府のあるウラジオストク、極東管区大統領全県代表のいるハバロフスク(ただしハバロフスク自体は中国国境からすぐだが)、モスクワと距離が離れていくにつれて、問題や恐怖心だけが伝わるようになるのではないかと思った。


最後に、中国市場に行ってみたい人のために場所をお知らせします。


大きな地図で見る

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.asianlaw.jp/mt/mt-tb.cgi/55

コメントする