2009年2月アーカイブ

建国60周年を間もなく迎えようとしている平壌は、街に飾られている装飾や祝賀のスローガンがいつもより多く、華やかな雰囲気だった。日本では軍事パレードがどのように行われるかが大きく注目されていたようだが、平壌の人々にとっては、政治的な行事はさておいて、9月9日~11日の3連休が楽しみのようだった。

夏の暑さも一息ついたものの、晴天が続き暑かった平壌では、路上の簡易売店でアイスクリームやサイダー、清涼飲料水などがそれなりに売れているようだった。




2000年の「アリラン」の時に平壌市内に設置され、その後全国に広まった「売台(メーデー)」は、その後もなくなることなく、朝鮮の風景に溶け込んでいる。最初のころは珍しくて写真を撮ったり、何を売っているのか尋ねたりすることが多くなったが、最近はその店のアイスバーの取扱銘柄やアイスバーの溶け具合などが気になる(店によって品質や保存状態に若干のばらつきがあるので)ようになった。

このような簡易売店は、常設の店舗に比べると埃っぽい街頭にあったりして衛生状態などが少し劣ることもあるが、全体的に中国よりはずっときれいで、韓国と同じくらい、日本のお祭りの屋台と比べてもそれほど不潔だとは思わない。ただ、売っているものの品質に関しては、よく吟味する必要があるかもしれない。サイダーやアイスバーなど、瓶に入っていたり個別包装になっているものはまず大丈夫だが、パンや揚げ菓子などは直射日光にさらされた結果、酸化が進んでいる可能性もあり、必ずチェックしたから買う方がいい。



滞在中、平壌サーカスを見学する機会があった。
平壌サーカス劇場は、市内の西方、光復通りにある。
普段サーカスを見ないので、断定はできないが、空中芸では空中後方4回宙返りなどの技が披露され、レベルはかなり高いのではないかと思う。



サーカスに出てくるクマはとても愛嬌があり、ユーモラスな動きをする。動物虐待という風に見る向きもあろうが、平壌ではそういった考え方はまだ一般的ではなく、楽しい出し物としてみんなが見ていた。

2008年9月6日~13日の日程で平壌を訪問した。今回は、朝鮮の学者との交流と建国60周年を祝う各種行事への参加が主目的だった。


平壌の順安空港に到着後、前回の訪問時にも見た新しいランプバスがわれわれをターミナルまで連れて行ってくれた。小さな変化ではあるが、空港内の案内表示がピクトグラムを多用したものに変更されるなど、全体的に「国際標準」を目指した変更が行われている。


市内までの道は新しく舗装し直されている部分が多かった。市内に入ると、祝賀ムードを盛り上げるためかさまざまな趣向を凝らした看板や旗が飾られていた。



今回の祝賀行事の中では、9月8日に平壌体育館で開かれた「中央報告大会」や9日に金日成広場で行われた民間武力である労農赤衛隊の行進と群衆集会とともに、マスゲーム「繁栄あれ、わが祖国」と「アリラン」が特に印象深かった(多くの大会と「繁栄あれ、わが祖国」には、カメラを持って行けなかったので写真はない)。

マスゲームは以前の「アリラン」のように、学生が主体のどちらかというと堅めの印象を与えるものだった。多くの学生が参加しているが、勉強に差し支えないか心配で周囲の人にたずねると、「体力的にも、精神的にも鍛錬になるので、問題ない」という返事が一様に返ってきた。ただ、「一部のエリート校の学生は参加しない」という返事もあった。


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撫遠を出たバスは、約3時間半後、同江のバスターミナルに到着した。同江市は黒龍江省佳木斯市の中にある県級市で、黒龍江(アムール川)と松花江(ウスリー川)が合流する場所に位置するところから、「同江」という名前になった。



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同江市は松花江、黒龍江の河川交通の要衝でもあり、ハルビンから山形県・酒田市を結ぶ「東方水上シルクロード」が2004年までここを通過し、日本まで荷物を運んでいた。また、最近では対岸のロシア・ユダヤ人自治州ニジニェレーニンスコエ村とを結ぶ道路・鉄道両用橋の建設が推進されている。鉄道も現在のところ貨物だけではあるが、同江まで延伸されており、近い将来、中ロ間の物流拠点となることが期待されている。




同江のバスターミナルは、黒龍江省佳木斯市を中心とする周辺地域だけでなく、冬季は氷結する松花江(ウスリー川)を通って、対岸のロシアへ向かうバスの出発地点ともなっている。市内にはまだそれほど高い建物はないが、中ロ大橋の完成などを見込んで貿易が盛んになることからオフィスビルの建設などが進んでいた。




川が氷結しない春~秋は、川幅の狭いところに浮き橋をかけて国境の通路としている。



同江は黒龍江・同江市から海南省・三亜市に至る延長5700キロの同三公路の起点になっている。中国らしい、スケールの大きい話であるが、馬鹿にしてはいけない。同江~ハルビン~長春~瀋陽~大連(海上)煙台~青島~連雲港~上海~寧波~福州~深圳~広州~湛江~海安(海上)海口~三亜の多くの部分が立派な高速道路なのだ(黒竜江省内でも同江~佳木斯間はそれほどでもないが、そこから先は片側2車線の高速だ)。

現在建設プロジェクトが推進中の中ロ大橋もこのような大規模な物流ネットワーク整備の一環として行われている。中国のスケールの大きい話が周辺国との経済関係を拡大するための戦略的なプロジェクトとして結実しつつあることを頭に入れて話をしないといけない時代になっている。


中国・遼寧省丹東市と朝鮮・平安北道新義州市を結ぶ新たな橋も、中国側は中朝間を連結するハイウェイ・ネットワークの整備という観点から設計を行っている。現在、朝鮮側はそこまでのスペックで橋を建設したいとは考えていないようだが、朝鮮の置かれた国際環境に変化があれば、深圳湾大橋のような立派な橋が架かることになるのだろう。

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