2008年6月、中ロ国境の旅(その6)

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撫遠を出たバスは、約3時間半後、同江のバスターミナルに到着した。同江市は黒龍江省佳木斯市の中にある県級市で、黒龍江(アムール川)と松花江(ウスリー川)が合流する場所に位置するところから、「同江」という名前になった。



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同江市は松花江、黒龍江の河川交通の要衝でもあり、ハルビンから山形県・酒田市を結ぶ「東方水上シルクロード」が2004年までここを通過し、日本まで荷物を運んでいた。また、最近では対岸のロシア・ユダヤ人自治州ニジニェレーニンスコエ村とを結ぶ道路・鉄道両用橋の建設が推進されている。鉄道も現在のところ貨物だけではあるが、同江まで延伸されており、近い将来、中ロ間の物流拠点となることが期待されている。




同江のバスターミナルは、黒龍江省佳木斯市を中心とする周辺地域だけでなく、冬季は氷結する松花江(ウスリー川)を通って、対岸のロシアへ向かうバスの出発地点ともなっている。市内にはまだそれほど高い建物はないが、中ロ大橋の完成などを見込んで貿易が盛んになることからオフィスビルの建設などが進んでいた。




川が氷結しない春~秋は、川幅の狭いところに浮き橋をかけて国境の通路としている。



同江は黒龍江・同江市から海南省・三亜市に至る延長5700キロの同三公路の起点になっている。中国らしい、スケールの大きい話であるが、馬鹿にしてはいけない。同江~ハルビン~長春~瀋陽~大連(海上)煙台~青島~連雲港~上海~寧波~福州~深圳~広州~湛江~海安(海上)海口~三亜の多くの部分が立派な高速道路なのだ(黒竜江省内でも同江~佳木斯間はそれほどでもないが、そこから先は片側2車線の高速だ)。

現在建設プロジェクトが推進中の中ロ大橋もこのような大規模な物流ネットワーク整備の一環として行われている。中国のスケールの大きい話が周辺国との経済関係を拡大するための戦略的なプロジェクトとして結実しつつあることを頭に入れて話をしないといけない時代になっている。


中国・遼寧省丹東市と朝鮮・平安北道新義州市を結ぶ新たな橋も、中国側は中朝間を連結するハイウェイ・ネットワークの整備という観点から設計を行っている。現在、朝鮮側はそこまでのスペックで橋を建設したいとは考えていないようだが、朝鮮の置かれた国際環境に変化があれば、深圳湾大橋のような立派な橋が架かることになるのだろう。

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