呼称問題について

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 朝鮮問題を語るときに、朝鮮半島の南北にある国をどのように呼ぶかという問題は、南北どちらを支持するかという問題と密接に関連した問題だ。2000年6月の南北首脳会談以降、南北が相互に相手方の存在を承認するようになり、南北間で交わされる合意文書にも「大韓民国」「朝鮮民主主義人民共和国」という正式名称が使われるようになった。

 大韓民国における「韓国」、朝鮮民主主義人民共和国における「朝鮮」という表現は、共に南北両方を含む概念だ。だから南北の地理的区分を語るときにはそれぞれ「南韓」「北韓」、「南朝鮮」「北朝鮮」という表現が使われてきた。また、国の略称としては「韓国」「共和国」という表現が比較的多く使われている。

 日本における朝鮮半島に関連する呼称を見ると、大韓民国のことを「韓国」、朝鮮民主主義人民共和国のことを「北朝鮮」と呼ぶことが一般的になっている。以前、朝鮮民主主義人民共和国が優勢であったころには「南朝鮮」、「共和国」と呼ぶ人も少なくなかった。

 このブログでの書き込みにおいては、南北双方の存在を認め、かつ誤解がないように表現をしたいと思っている。おそらく、日朝国交正常化が行われた際には、「北朝鮮」という表現はなくなり、「朝鮮」になるのではないかと思う。朝鮮半島においても、南北の存在を認めているのだから、日本においても、双方の存在を認めた上で、双方に住んでいる人が不愉快に思わない呼称を選ぶことが賢明だろう。

 そのため、当面の間、このブログでは大韓民国を「韓国」、朝鮮民主主義人民共和国を「朝鮮」と呼ぶことにしたい。大韓民国を「南朝鮮」と呼ぶことも変だし、朝鮮民主主義人民共和国にだけ「北」という文字をつけることも、国家として承認しないという意味を多分に含んでいるので、「北朝鮮」と呼ぶのも変だろう。「共和国」という言い方もあるが、これは朝鮮民主主義人民共和国国内のローカルな言い方で、世界中に共和国がつく国名はたくさんあるので、誤解を招きやすい。

 今後、特別に断りがない限り、「韓国」と書いてあれば、大韓民国のことを、「朝鮮」と書いてあれば朝鮮民主主義人民共和国のことを指すと考えていただければよい。また、地域名称としては、「朝鮮半島」を、言語名としては日本国内での朝鮮半島における言語の学術的名称である「朝鮮語」を使用したいと思う。

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コメント(2)

こんにちは。
呼称問題は難しいですね。
私は相手に合わして使い分けています。
使い分けしなければならないということ自体おかしなことなんですよね。
ほんとにややこしいです。

呼称問題は難しいと思います。このブログでは、韓国、朝鮮という風に呼ぶことにしましたが、まだ一般的でないので、定義をかけないところでは、便宜上北朝鮮と書くこともあります。

相手によっていい分けるというのは、ややこしいですが、現状を考えると仕方ないかもしれませんね。言葉の定義で議論になって、肝心の話ができない、ということも多々ありますから。

最近は朝鮮の人たちも、外国にいるときは「韓国」という言葉を使ってもそれほど嫌がることはなくなってきたように感じます。2000年の南北首脳会談はあまり意味がなかったと批判されることが多いですが、少なくとも朝鮮の人たちの韓国に対する認識を変えたという点では、2000年以降の南北関係の改善は大きな力を持っていたのではないかと思います。

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